クリニックデザイナーが誕生するまで④

目次

痛烈な体験から未来を広げる

ピンチはチャンス

コーチングを学び始めて、数か月後に院長が研究のため海外留学をしました。
院長の留学に伴い、事務長や数名の医師が勤務するようになったのです。

『患者さんは、今まで毎回院長が診察していたのに
受診の度に医師が変わることに戸惑う』

『スタッフは、患者さんから相談や苦情への対応に苦慮する』

『医師は、毎回初めて見る患者さんが続き、診察に時間を要するし、
前の先生はこう言っていたのに!など患者から質問を受けて、
更に時間がかかる』

『待ち時間が長いというクレームが多くなり、
苦渋の判断で診療予約を制限したら、
近隣の医院から患者を断るとは何事だ!とおりを受ける』

そんな混乱の中で、チームビルディングやミーティングマネジメント、
他職種間のコミュニケーションにコーチングを活用して、対話を重ね、
改善策を皆で考えて、実行していきました。

『医院を改装して、診察室を2つに増やし、待合室と検査室を増床する』
『コンシェルジュを導入する』
『手術患者の台帳をデジタル化してデータベースを作り、
作業効率を高める』
『手術当日のオペレーションを見直し、一日に対応可能な件数を増やす』
『一人ひとりの定期非常勤医師とコミュニケーションを取り、
情報共有をして、協力を仰ぐ』

これらの取り組みは一例ですが、混乱したり困ったことをチームで共有して
もっと患者さんにより良い眼科医療を提供するための対策を考えて
チームで取り組んだことで、外来患者数も手術患者数も1.5~2倍に増えていきました。

マネージャーとしての失敗談

全てが順風満帆だったわけではなく、
思い返してみると数々の失敗がありました。
スタッフから批判を受けたり、やる気を失わせてしまったり、
泣かせてしまったり、様々なことがありました。

どんな失敗をしたのかは、
今回だけでは書き切れない数々のエピソードがあるので、
今後のnoteで書いていきます。

事業継承したクリニックでの出来事

ここでは、一つ失敗談をお伝えします。
それは、前述のクリニックでの勤務を経て、
その後、事業継承したクリニックでマネージャーとして
勤務していた時のことでした。

院長が事故で急逝されて事業継承をしたクリニックでは、
事業継承前から勤務しているスタッフと
事業継承後に移動・採用したスタッフが混在していました。
院長が急逝されて患者離れが進み、経営的に厳しい状況が続いていました。

赤字経営だと、質の高い医療の実現のための設備投資が困難になるし、
スタッフの給与にも還元できなくなります。
収益を上げていくことと提供する医療の質を向上させることは
車の両輪のようなもので、どちらも大切なことです。

赤字経営から脱却するために、新たな治療を取り入れたり、
手術室を作って日帰り手術を行うようにしたり、
経営改革を行っていました。

事業継承前から勤務していたスタッフは、新しい体制に戸惑いを覚えたり、次々と新しいことを行うことに、抵抗を感じていたりしたのでしょう。
「こんなに頑張っているのに、もっとやらされる」
「できないと言っても、やらなくてはダメなんですよね?」
と言う言葉が聞かれました。

ダメなマネージャーを告発するレポート

そんなある日、事業継承前から勤務していた主任から、
クリニックの理事宛てに、
私がどれだけできていないマネージャーなのか、
という内容について、A4の用紙裏表にびっしり2枚のレポートを
提出されました。

理事から、「スタッフから信頼されていない!!」
と、お叱りを受けた私は、提出されたレポートの内容を見て
ショックを受けたり、心のざわつきを覚えたものの、
今回のことをどう捉えたら良いかセルフコーチングをしました。

「理由はどうであれ、こんなレポートを提出されるなんて、
なんてダメなマネージャーなんだろう」
「私だって頑張っているのに、こんなことを言われるのは悲しい」
そんな思いがよぎります。

その一方で、この一件をきっかけに、
良い方向に進むにはどうしたらよいだろう、
そんな問いかけを自分にしていました。

そして、レポートを提出した主任と向き合ってみることにしました。

告発レポートから新たな関係性を築く

「レポートを読ませてもらったのだけど」
と主任に声をかけたら、顔が真っ青になっていました。
それもそうでしょう。
そのレポートは、私には見せないで!と言って、提出されたものでした。

「色々辛い思いをさせてしまったみたいでごめんね。
あなたが気づいてくれたことをもとに改善していきたいから
もっと話を聴かせてもらえませんか?」

そこから、主任との関係性が大きく変わりました。
それまでは、「私は指示を出してやらせる人、主任は指示を受けてやる人」
でした。
告発レポートの一件の後は、
「問題を共有して、一緒に解決して、更にチームを良くしていく関係」
に変化したのです。

人生で変えられるものと変えられないもの

起こった出来事は変えられません。
できていないマネージャーであるというレポートを提出された
出来事は変えられません。
しかし、その出来事に対する捉え方は変えられます。

『人生最悪の出来事』と捉えるのか、
『辛い経験だったけど、それをきっかけに自分の人生が変わった』
と捉えるかで、その先の未来が大きく変わるのです。

この一件は、マネージャーとして大きく成長する仕事の上で
大きな転機となりました。
この出来事から、自分の未来が広がっていったのです。

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